米粉の商品拡大 国産がウリ 国も協力 (東京新聞)

東京新聞 2010年4月27日
http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/trend/CK2010042702000112.html

コメを製粉した「米粉」を、小麦粉の代わりに使った製品が拡大している。国産である安心感や、もちもちとした食感が魅力で、大手企業がパンやピザ、ケーキなどを相次いで発売。農林水産省もコメの消費増加につなげようと、公式サイトで米粉の商品を紹介し、普及を後押ししている。


コンビニ大手のローソンは、二〇〇八年から米粉を使ったパンを販売。値段は小麦粉だけのパンより十〜二十円程度高いが、独特の食感が受け消費者の評判は上々で、「パンの一つのジャンルとして浸透してきた」と手応えを話す。


日本ケンタッキー・フライド・チキンが展開する宅配ピザチェーンの「ピザハット」は米粉を使ったピザの販売を順次開始し、五月十日までに全国発売する。ピザの主な材料の小麦やチーズは輸入比率が高い。同社は「国産の材料を使うことで自給率向上に貢献したい」と強調する。


農水省によると、米粉は古くから和菓子の原料とされてきた。ただ、そのままでは粉が粗いため、パンなどに加工しても、味などの面で小麦粉に劣っていたが、製粉技術の進歩でこの問題はクリア。〇七〜〇八年には小麦価格の高騰により、注目が高まった。


さらに、〇九年度に、農水省の支援で米粉用米の生産が本格化。安定供給や、トレーサビリティー(生産履歴管理)の確保が可能となり、大手企業が導入しやすくなった。消費者の関心も高く、普及は今後も拡大しそうだ。(宮崎仁美)



●食料自給率
国内の食料消費が、国内の農業生産でどの程度賄えているかを示す指標。カロリーや生産額などを基に計算する。日本の食料自給率は低迷を続け、カロリーベースで41%(2008年度)と、海外の主要国に比べても低い。食生活の洋風化により、自給率の高いコメの消費が減る一方で、自給率の低い肉や油脂の消費が増えたことが要因とされている。農水省は3月、新たな「食料・農業・農村基本計画」を策定し、20年度に自給率を50%に引き上げるとの目標を掲げている。