貸農園、野菜作りの拠点… 耕作放棄地、企業が活用 (日本経済新聞)


日本経済新聞 2010/4/27
http://www.nikkei.com/news/local/article/g=96958A9C93819890E0E4E2E2E58DE0E4E2E6E0E2E3E29E9693E2E2E2;p=F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2;n=9694E3E4E3E0E0E2E2EBE0E0E4E5;o=F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2F2
農家が生産しなくなった耕作放棄地を利用して事業に取り組む企業の動きが目立ってきた。一般市民の環境意識の高まりに伴い、土と親しめる貸農園や、安心して口にできる野菜づくりの拠点として活用する。雇用維持を狙い参入する中小建設会社のような例もあり、取り組みに広がりが出始めている。


市民向け貸農園運営のマイファーム(京都市)はホームセンター大手、DCM Japanホールディングスと組み、耕作放棄地を使った貸農園の開設に乗り出した。同社店舗周辺の耕作放棄地を紹介、マイファームが農園運営を受託する。


両社は2010年度中にホームセンター20店の周辺に60カ所の貸農園を開設する。3年間では200カ所が目標。DCM傘下のダイキ(松山市)を通じ、すでに兵庫県川西市大阪府箕面市など7カ所への設置を決めた。


DCMは3月、マイファームに1000万円を出資、発行済み株式の4.4%を取得した。農園利用者の声を園芸部門の商品開発に生かすほか、農園での研修で作物に詳しいスタッフを育てる。


兵庫県中心の食品スーパー、トーホーは昨年12月、農業法人トーホーファーム(神戸市)を設立、同社を通じて神戸市内の耕作放棄地323 アールを賃借した。キュウリやブロッコリー、葉物野菜などを生産し自社店頭で販売、今後は専用コーナーも設ける。12年には生産農地を500アールに増やす考え。食への安全・安心を求める消費者の志向に着目、新会社で事業を本格化する。


エイチ・ツー・オーリテイリング(H2O)は傘下の農業生産法人、阪急泉南グリーンファーム(大阪府泉南市)で有機野菜の栽培事業を推進する。大阪府南部を中心に農家の休耕地などを借り受ける。栽培面積は200アール弱。この1年で約50アール広がった。


雇用対策で農業に参入したのは兵庫県淡路市に本社を置く地場建設会社、光明建設。市内の耕作放棄地を借りタマネギやネギを生産する。公共事業の縮小で「09年度の利益は06年度の半分に落ち込んだ」(渡辺正明光明建設社長)。約20人の従業員を抱え、閑散期対策も視野に入れる。将来は耕作面積を現在の2.5倍の400アールに広げ、安定した利益を稼げる体制を目指す。