『自然が正しい』モーリス・メセゲ著、グロッセ世津子訳 驚き!野菜やハーブの威力(共同通信) 


共同通信 2010/08/09
http://www.47news.jp/EN/201008/EN2010080901000280.html


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ハーブ愛好家なら著者の名を聞いたことがあるかもしれない。詩人ジャン・コクトーチャーチル英首相も治療したという薬用植物療法の大家。その名を冠したハーブ製品は世界で愛用されているという。


本書は一見、実用の書だ。身近な野菜や果物の驚くような効能が次々紹介される。ニンニクの寄生虫よけ、クレソンの脱毛予防、セロリの精力増強。キャベツの葉はやけどの応急措置に効き、トマトの葉はつるしておくと蚊よけになるという。


ハーブや野菜を使ったレシピが約100種類。長寿、健康、美容、強壮のため、スープ、メイン料理、ソース、デザートなどに分かれて披露される。


こうした役立つ知識や情報の底に流れるメッセージは、何とも骨太なタイトル通り。冒頭、著者がフランスの片田舎の町長時代に取り組んだ環境保護運動が紹介される。小売店に呼びかけて安全な自然食品を売るよう求め、小売店は卸業者に、卸業者は生産者に同じ要求を伝えて運動は広がっていく。やがてこの地域は自然食の供給地として有名になる−。


実はこれ、約40年前の話。なのにまったく古びていない。「80年代フランスの大ベストセラー」だったこの本を、いま翻訳出版する意味が腑に落ちた。とはいえ本書には環境保護の訴えにありがちな悲壮な告発調は微塵もない。むしろ健康的でおいしいものを食する喜びとユーモアのセンスにあふれている。それを生き生きと伝える翻訳が見事。(地湧社 2800円+税)=片岡義博