「野菜もエコ」 農水省、農産品のCO2量表示を制度化 11年春から(日本経済新聞)


日本経済新聞 2010/7/21
http://www.nikkei.com/news/category/article/g=96958A9C93819481E0E3E2E2E48DE0E3E2E5E0E2E3E29F9FE2E2E2E2;at=ALL
農林水産省は消費者が店頭で農産物を買うときに、その生産の過程で排出された二酸化炭素(CO2)の量が分かる表示制度を創設する。すでに加工食品などでは導入されており、農産物にも広げることで環境対策への取り組みを促す。「環境にやさしい農産物」を消費者に訴える仕組みを整え、販促につなげる狙いもある。



2011年4月から導入する予定だ。CO2排出量は栽培に使った電気や燃料などの量に応じて算出する。このほか、肥料や農薬の生産過程でもCO2が生まれることから、肥料・農薬の使用量を抑えた分だけ、CO2排出量も減る仕組みとする。


各農家が同じ基準に沿ってCO2排出量を計算できるようにするため、農水省のホームページに農薬や資材、電気などの使用量に応じて、排出量を算定できるシステムを設ける。


同時に、コメや野菜などの品目別に標準的な排出量の目安を設定し、生産者に温暖化ガスの削減への取り組みを促す考えだ。農家側の混乱を防ぐため、表示制度の手続きや利用方法を定めたガイドラインもつくる。


商品の製造・流通などに伴うCO2排出量を表示する仕組みは「カーボンフットプリントと呼ばれ、すでに一部の加工食品などで導入が始まっている。今回、創設するのは「農業版カーボンフットプリント」に当たるものだ。


個人農家でも手軽に活用できるようにするため、排出量の表示は農家の申請に応じ、流通や小売りの段階で農協やスーパーなどが一括して請け負う仕組みにする方向で検討する。


民主党政権は温暖化ガス排出量を20年に1990年比で25%削減する目標を掲げる。この達成に向けて、これまで鉱工業中心だった低炭素社会構築への取り組みを第1次産業にも拡大する格好だ。


カーボンフットプリント制度を巡っては、イオンが排出量を表示したコメや食用油を販売するなど、大手小売業でも対象商品を扱う動きが出ている。ただ、この制度への消費者の認知度は必ずしも高くなく、どう分かりやすく説明するかが小売り側にとっても課題になっている。


●カーボンフットプリント[ carbon foot print ]
原料調達から廃棄・リサイクルまで商品のライフサイクル全体を通して排出される二酸化炭素の量を算定、シールなどで商品に表示する仕組み。輸送段階でAグラム、販売段階でBグラムなどと各工程で詳細にデータを把握する。このため企業が環境に配慮した商品の開発や販売手法の改善に役立てることが期待されている。英国が発祥とされており、フランスや韓国でも導入の動きが活発になっている。


●農協[ Agricultural Cooperative ]
農業協同組合の略称。農産物の販売、生産、生産資材の購買、金融、技術・経営指導などを行う、農業者を主な組合員とする団体。組織は末端の市町村レベルに単位農協、都道府県に販売、購買、信用、共済、開拓、畜産、厚生などの各農協連合会、中央にそれらの全国農協連がある。単位農協は全国に約730ある。政策的問題については都道府県と中央にそれぞれ都道府県農協中央会と全国農協中央会(全中)がある。


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