富裕層向けの会員制農場がブームに(下)〜日本人が知らない中国事情(NetIB-NEWS)


NetIB-NEWS 上海最先端レポート 2010年6月20日 劉 剛
http://www.data-max.co.jp/2010/06/32_13.html
<会員制農場が生まれた背景>
経済の中心と言われる上海において、経済の発展に伴い、人々の収入が増えつつあります。富裕層の数ははっきり分かりませんが、市の内側環状線範囲以内の住宅マンション価格を見れば、5千万円ないし1億円に値する固定資産を持つ家庭がたくさんあることは言うまでもないでしょう。


生活にゆとりがあり、モノに対して品質を追求し、上品にこだわる傾向がますます顕在化しています。そのなかで、健康に直結する食べ物は最も注目を浴びるようになりました。しかし、中国、とりわけ上海の巨大な消費需要を満たすためには、農産物の生産において、ますます化学肥料や農薬の役割が大きくなります。それらを使ってこそ、大量かつ見栄えのよい農産物が産出できるからです。


市場やスーパーで出回っている野菜のほとんどは、化学肥料や農薬によって「生育を促進され、害虫から守られた」モノです。普通、農薬を使わなければ、必ず虫が食べた痕跡が残ります。見た目が良くサイズも大きいですが、長期間食べ続ければ、体に何か影響が出てくるでしょう。
したがって、健康志向の人が野菜を選ぶ時、きれいな農産品よりもわざわざ地元農家が自ら栽培した表面がでこぼこして、実の小さいモノにするのは一種の対応策と言えます。


消費者志向を踏まえると、会員制農場は時代の流れのなかで生まれたものと言えるでしょう。ただし、現時点では会費が高く「大衆」は利用できません。


実際に、会員になるのは会社の重役や上海に長期滞在している外国人に限られているそうです。(了)


【劉 剛(りゅう ごう)氏 略歴】
1973年12月生まれ。中国上海出身。上海の大学を経て、96年に地元の人材派遣会社に入社。10年3月より福岡に常駐。趣味は読書。