農業の課題(4) 戸別所得補償に難題も(朝日新聞)


朝日新聞 2010年6月18日
http://www.asahi.com/business/topics/keizainavi/TKY201006180304.html
Q 「戸別所得補償制度」という言葉を最近よく聞くけれども、どんな仕組みなの。
A 減反に参加するコメ農家に対し、規模にかかわらず、作付面積10アール当たり1万5千円を一律に支給するんだ。さらに、2010年産のコメ価格が、農林水産省の設定価格を下回った場合は、赤字分が追加で支給される。

Q それだけ?
A 柱はもう一つある。国が指定した麦、大豆、米粉用米、飼料米などを水田で育てると、作物に応じて助成金が支払われる。米粉用米には、10アール当たり8万円支給される。


Q 予算規模はどれぐらいなの。
A 10年度はモデル事業で総額5618億円と、農水省の要求通りになった。参院選を控えた民主党にとって農家にアピールする看板政策であることが、後押ししたとされる。


Q 今後はどうなる?
A 11年度から本格的に実施される。コメだけでなく、麦や大豆などの畑作などにも拡大し、予算は1兆円規模に膨らむ見通しだ。小規模農家も含めた「すべての農業者」が農業を継続できる環境を整え、自給率を向上させることが目的だが、財政状況は厳しい。先行きを疑問視する声も出ている。


Q 制度に問題は。
A 参加者が多いと、減反が進むのでコメの供給量が減り、価格が高止まりする可能性がある。都市部の納税者にとって、価格面での利点は期待できない制度だ。また、すべてのコメ農家を対象にしているため、競争力のある農家に農地を集約する流れが遅れるという指摘もある。
(この項は古屋聡一が担当しました)