直売所の運営/高い顧客満足度生かせ (日本農業新聞 論説 記事)


日本農業新聞 論説 2010-3-21
http://www.nougyou-shimbun.ne.jp/modules/news1/article.php?storyid=1208
都市農山漁村交流活性化機構(まちむら交流きこう)が、農産物直売所はスーパーと比べて「顧客満足度」が高いという調査結果をまとめた。直売所も競争が激しくなってきており、消費者(顧客)の満足度が高いという内容を分析し、長所を運営に生かすべきだ。


最近は農産物直売所の人気が高まり、JAや生産者グループだけでなく、民間業者の参入も相次ぐ。生産資材を取り扱うホームセンターは相乗効果を狙って直売コーナーを設けたり、住宅展示場は主婦を誘うために直売野菜のテントを設けたりしている。スーパーでもインショップの地場野菜直売コーナーが目を引くようになった。


競争が激しくなるにつれ、JAの直売所は流通業ライバルのスーパーを運営の手本にしたくなるが、この調査結果は「スーパーよりも直売所」とする消費者が多いことを明らかにした。まちむら交流きこうが民間調査機関の協力を得て、サービス業などの評価をする指標である顧客満足度を調べた。商品やサービスの質・方向性などを、消費者の要望や好みを中心に据えた「満足」という尺度でとらえた。顧客満足度を高めた方が、リピーター(再来店者)の確保につながる。


顧客満足度は100点満点で、価格やパッケージ、店員など13項目について首都圏のスーパーと比較調査した。13項目のうち12項目で直売所の方が満足度が高かった。スーパーの方が高かったのは「営業時間」だけだった。それもスーパーが76.3点、直売所が73.7点と差は小さい。


逆に直売所の満足度が高くて隔たりが大きい項目は「価格」で14.3点の差だった。「味・おいしさ」「価格」「安全性」など直売所の強みとされる項目は当然だが、「パッケージ」「レジ」「店員」「清潔感・温度・湿度」などは近代的なスーパーの洗練されたサービスを思い浮かべると意外な結果といえる。


もちろん、全部の直売所がスーパーを上回る満足度を提供しているわけではないが、消費者が直売所に何を期待し、評価しているかをうかがい知ることができる。しかし、消費者の要望も漏れ聞こえ、これら根強い消費者の人気に支えられている実態に甘えてばかりではいけない。


例えば、「営業時間」は夕方の買い物客の利便性に応えていないかもしれないが、「直売所の特性によるもので、買い物客には織り込み済み」と安心していないだろうか。品ぞろえは、新鮮、完熟の青果物や総菜、精米したての米などが中心だが、地魚、畜産物などの要望もあり、今後はその対応も必要になる。


地場産品の重視や直売所間の提携、協同組合間の提携などを模索することも重要である。規模が大きくなれば、食育や地域貢献活動などによる地域活性化を進める活動も考えるべきだ。