農業に新風　２０代のベンチャー、販路開拓・畑で婚活…（朝日新聞）

朝日新聞　京都　2010年8月19日
http://mytown.asahi.com/areanews/kyoto/OSK201008180165.html

農業の世界に、京都の若者を中心としたベンチャー企業が誕生し、活動の輪を広げつつある。無農薬の野菜を農家から直接買って街角で売ったり、農家の高齢化などで増え続ける耕作放棄地を体験農園に変えたり。柔軟な発想と行動力で、既存の農業のあり方に風穴を開けようとしている。

７月末の金曜日。北区のカフェの前に十数種類の新鮮な野菜が並んだ。真っ赤なプチトマト、イタリア原産の大型ナス、バナナの形をした黄色いバナナピーマン、生で食べられるカボチャ……。どれも無農薬、無化学肥料栽培だ。

販売するのは農業ベンチャー「坂ノ途中」（南区）。金融機関を退職した小野邦彦さん（２６）らが昨年７月に立ち上げた。京都府南部や奈良市、大阪府内などにある約３０軒の提携農家から野菜を仕入れ、街角での直売や飲食店への販売をしている。

提携農家は若手の新規就農者がほとんど。生産量が少なく、市場を通した既存の流通では販売しにくいため、生計をたてられずに挫折するケースが後を絶たない。その販路を開拓しようという試みだ。小野さんは「いま、農業の世界に飛び込むには、『出家』をするほどの覚悟が必要。そこを何とかしたい」と語る。

■海外輸出計画
小野さんは京都大の学生時代、バックパッカーで世界中を旅した。美しい自然のなかにごみが捨てられているのを見て、環境破壊に危機感を抱いた。環境と共生する仕事がしたいと、２年余りのサラリーマン生活を経て持続可能な農業をサポートするために起業を決意した。

最初は食材にこだわる飲食店を探し、飛び込み営業もした。最近は客の紹介で新規の取引先も増えてきた。畑で取引先と勉強会を開くなど、野菜への理解を深めてもらう努力もしている。「一つひとつの野菜に表情がある」と反応は上々だ。

シンガポールのスーパーに野菜を輸出する計画もある。直売所をフランチャイズ方式で広げ、街のあちこちで売るビジネスモデルを頭に描く。小野さんは「熱い思いで農業に飛び込んだ人を支える仕組みを作りたい」と言う。

耕作放棄地の再生に取り組む農業ベンチャーは「マイファーム」（下京区）。放棄地で市民が農作業を楽しむ体験農園を京都、大阪、東京など約５０カ所で展開している。

京都大農学部を卒業した西辻一真さん（２８）らが３年前に起業した。耕作放棄地が増える一方、家庭菜園ブームもあって、農業に触れたい都会の人は増えていると見込んだ。これが当たり、利用者は２０〜４０代の子育て世代を中心に約２千人にまで増えた。

■出会いの場提供
農作業を通じて、男女の出会いの場を作るイベント「畑ＤＥ婚活」など話題作りも巧み。７月には、プロの農家の養成に向けて「マイファームアカデミー」を開講。インターネットを通じて授業を受け、滋賀県野洲市の農場などで実習も受けられる。

目標は体験農園を全国１千カ所に増やすこと。そこで約５万人が農業をやれば、日本の食糧自給率も上がる可能性があるとみる。西辻さんは「自分で作れば、作り手の苦労もわかる。自分で食べる野菜を自分で作る『自産自消』の理念を広げていきたい」と意気込んでいる。（西江拓矢）

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野菜提案企業 (株)坂ノ途中
http://www.on-the-slope.com/
坂ノ途中の日報（※(株)坂ノ途中代表小野邦彦さんのブログ）
http://ontheslope.jugem.jp/

株式会社マイファーム
http://www.myfarm.co.jp/
マイファームアカデミー｜農業の専門学校
http://myfarm-academy.com/
京都から農業を変えるマイファーム日記。（※(株)マイファーム代表西辻一真さんのブログ）
http://ameblo.jp/okinawa-kyoto/

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関連：
貸農園が人気　週末に汗（読売新聞）
http://d.hatena.ne.jp/mikamurata/20100810/1281566347

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