農業の課題(3) 進まない農地集積(朝日新聞)


朝日新聞 2010年6月18日
http://www.asahi.com/business/topics/keizainavi/TKY201006170316.html

Q 日本の農家の1戸当たりの平均耕作面積はどれぐらい?
A 日本は1.9ヘクタールだ。米国は83ヘクタール、フランスは37ヘクタール、ドイツは32ヘクタールだから、海外と比べると、日本の耕作面積は格段に小さい。10ヘクタール当たりの農業就業者数も日本は6.2人。これに対し米国は0.1人、フランスは0.2人、ドイツは0.3人と、いずれも1人に満たない。日本の農業は零細農家が多く、生産性が低いといえるね。


Q なぜ、日本は耕作面積が小さいの。
A 戦後の農地改革で、小作農家が自作農家に転換した。1955年には約600万戸の農家があり、1戸当たりの平均耕地面積は約0.8ヘクタール。半世紀前から小規模農家が多い構造だった。高度経済成長期を迎え、都市部を中心に地価は高騰。農地も宅地、道路、工場などに転用され、値上がり益が出るケースも増えていった。農家が将来の転売を期待し、農地を手放さない傾向が強まったため、農地集約が進まないという指摘があるんだ。


Q 他に理由は?
A 機械化が進んだうえに農薬が普及し、コメは会社勤めをしながらでも作りやすくなったといわれる。このため小規模農家が減らないとの見方もある。


Q 欧米並みに効率を高めるには、農地を集積する必要があるということなのかな。
A ただ、課題も多い。例えば、地続きで農地を集めるのは難しいんだ。農林水産省によると、市町村が地域農業の中核とみなす農家でも、平均約15ヘクタールの農地が約30カ所に分散している。1カ所の平均面積は0.5ヘクタールに過ぎない。最も離れている農地間の平均距離は3.7キロもあった。