農業の課題(1) 進む高齢化、後継者不足 (朝日新聞)


朝日新聞 -2010年6月16日
http://www.asahi.com/business/topics/keizainavi/TKY201006150262.html
Q 日本の農業はどんな問題を抱えている?
A 大きな問題が高齢化と後継者不足だ。1960年の農業の就業人口は約1454万人だったが、2009年には289万人に減った。輸入品との競合による農産物の価格低下などで農家の所得が減り、若い世代が都市に流出したことが大きい。農業の担い手の6割は65歳以上だ。


Q 高齢者が1人で作業しているの。
A 農林水産省のアンケートでは、65〜69歳の7割が農作業を「自分1人」「自分が中心」で行っている、と答えた。もともと農林漁業は「働けるうちはいつまでも働きたい」と答える人が7割を占め、意欲の高い人が多い。ただ、高齢者による農作業中の事故の割合は上昇傾向にある。農業機械の転倒などで08年に起きた死亡事故は374件。65歳以上が8割を占めた。高齢化する農村で深刻な問題になっている。

Q 対策は?
A 農水省は地域内外の助け合いや小型作業ロボット開発の必要性などを指摘しているが、即効性のある解決策を見い出すのは難しいのが現状だ。


Q なぜ、農業を職業に選ぶ若い人の割合は増えないのだろう。
A 農家出身でない人が農業を始めようとしても、農地や住宅の確保が難しいからだ。高額な農業機械の購入資金も壁になっている。収入も厳しい。就農1年目のコメ作りの売り上げは平均229万円、費用は平均689万円。08年に新規就農した人は6万人だが、農家出身者が5万1千人を占める。農家以外の人は農業生産法人などに雇われる形が主流だ。つまり非農家出身者が単独で農業に参入するのは難しいんだ。