化学大手、農業に進出…LED技術など応用 (読売新聞)


YOMIURI ONLINE(読売新聞)2010年3月221日
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100322-OYT1T00267.htm

化学大手が、農業関連ビジネスに相次いで進出している。


生育条件を制御して野菜や花などを効率的に生産する「植物工場」に、LED(発光ダイオード)や太陽光発電パネルなどの製造技術を応用できるからだ。こうした“工業化”が農業の活性化をもたらす期待もある。


三菱ケミカルホールディングス傘下の三菱化学は、海上輸送用コンテナを改造した植物工場の第1号機を4月に中東・カタールに納入する。


コンテナは外気温の変化が内部に及ばない断熱仕様で空調完備だ。砂漠や寒冷地など、農業に不向きな地域での栽培を可能にする。


屋根の太陽光パネルで照明や空調に使う電力の一部をまかない、使った水はコンテナ内で処理して循環利用する。床面積は約30平方メートルだが、年間約1万8000株のレタスや小松菜などを収穫できる高い生産性を誇る。


三菱ケミカル傘下の三菱樹脂も、ビニールハウスなどの農業用資材を使った植物工場を2011年度から本格販売する。


昭和電工は、植物工場向けのLEDの基幹部品を開発した。農作物の成長を促すという特定の波長の赤い光を出す。既に全国10か所以上の植物工場が採用しており、本格展開する10年の売上高目標は約10億円だ。


農薬で国内メーカー首位の住友化学は、直接農業に参入している。昨年5月、長野県に農業生産法人を設立し、イチゴ生産を始めた。今後、全国30〜40か所に生産拠点を設け、15年には計50億円の売り上げを目指す。


経済産業省農林水産省は、09年4月に約50か所だった全国の植物工場を、11年度に3倍の150か所に増やす目標を掲げている。工業技術が、高齢化や後継者不足など国内農業が直面する問題を解決する可能性もある。(大郷秀爾)


(2010年3月22日14時33分 読売新聞)